「音楽映画」ベストテン

今年の『男の魂に火をつけろ』の映画ベストテンは、「音楽映画」ベストテンということで参加したいと思います。

ジャンルとして、好きなSF映画や、好きなホラー映画などについて考えたことはあっても、好きな「音楽映画」という括りを今まで考えたことがなかったし、映画を観終わったあとに、「これは、いい音楽映画だ」みたいな感想を持ったりしたことがなかったので、これはちょっと困ったなと思いました。ストーリーがいいことがいいのか、歌がいいことがいいのか、曲がいいことがいいのか、「音楽映画」の規範ってなんなんでしょうね。よくわからない。
わたしは小学校の頃からテレビで放映される「映画」や、MTVで見る「音楽」に夢中になって、大きな影響を受けて育ったので、「音楽映画」として映画の完成度よりも、自分にとって大きなトピックになった映画を挙げたいと思います。

ハード・デイズ・ナイト [DVD]ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]アメリカン・グラフィティ [DVD]ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ [DVD]スクール・オブ・ロック (字幕版)
オズの魔法使(初回限定生産) [DVD]メリーポピンズ スペシャル・エディション [DVD]ポスター アクリルフォトスタンド入り A4 ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール 光沢プリントジャージー・ボーイズ [DVD]ブルース・ブラザース [DVD]

1. ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(監督:リチャード・レスター/1964年)
2. ハイ・フィデリティ(監督:スティーヴン・フリアーズ/2000年)
3. アメリカン・グラフィティ(監督:ジョージ・ルーカス/1973年)
4. ヘドヴィグ・アンド・アングリーインチ(監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル/2001年)
5. スクール・オブ・ロック(監督:リチャード・リンクレイター/2003年)
6. オズの魔法使(監督:ヴィクター・フレミング/1939年)
7. メリー・ポピンズ(監督:ロバート・スティーヴンソン、ハミルトン・S・ラスク/1964年)
8. ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(監督:スチュアート・マードック/2014年)
9. ジャージー・ボーイズ(監督:クリント・イーストウッド/2014年)
10. ブルース・ブラザース(監督:ジョン・ランディス/1980年)

1位は、『ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!』。ビートルズは学生時代から聞いていましたが、映画は社会人になってから『ハード・デイズ・ナイト』としてリバイバル公開されてるのを見に行って、異常に興奮した思い出があります。ビートルズという世界最高のポップバンドが、映画でも素晴らしいものを残しているというところがすごいと思います。熱狂するファンをやりすごして、忙しなくステージにやってくると、バチっと演奏を決めてしまう恰好良さに痺れてしまう。それでいて展開されるのはひたすらゆるいコント。シリアスにもなれるバンドなのに、映画がコメディっていうのがなんともいいのです。グラフィカルに処理されるエンディングもセンスがよい。映画として特にメッセージがあるわけでもない。でも見るのが楽しくて、アルバムを聴くように、何度も見てしまう。「ポップアルバム」みたいな映画です。

2位は『ハイフィデリティ』。『スパイラルタップ』がバンドあるある映画なら、これは「リスナーあるある映画」としての金字塔だと思う。身の回りのことでもなんでも「ベスト」を作って順位つけしたり、音楽を聴きすぎるとなぜか自意識も大きくなってしまう。彼らを見てると自分を見ているようで苦笑いしてしまいます。

アメリカングラフティ』は、50年代のアメリカのカルチャーの憧れが詰まっています。映画を見た翌日にはサントラを買いに行き、ボウリングシャツとかいいよねと、日本の田舎の中学生をもかぶれさせてしまうマジックがある。当時はMTVで同時代の音楽ばかりを聞いていたわたしにポップスの歴史を遡る楽しみを促した映画で、これはたぶん大人になってはじめて見たのではそうならなかったはずで、若い時に見る映画の影響力を考えさせられます。

『メリーポピンズ』は、この映画の製作の裏側を描いた『ウォルトディズニーの約束』(これもいい映画)を見た後に、見直すとまた味わい深く見ることができて良かったです。

『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は今年公開された、ベル&セバスチャンのスチュアート・マードックの監督作品。映画ファンからの評価はまぁまぁといったところで、ポップスファンからは大きく支持されているような気がします。ここに出てくる主人公たちは「3分間のポップス」というものをある種、神聖なものとして、それに救われようとしたり、手を伸ばそうとしているように見える。「3分間のポップス」が自分にとっていかに大事なものか一度でも感じた事がある人なら、彼らの眩しさ、儚さを見て、胸が締め付けられたりするんじゃないかと思ったりします。

また映画の中で、登場人物が音楽の意味を見つけたり、音楽に救われたりするとなんだか嬉しい気持ちになるし、そういう映画を見るたびに、音楽への向かい方、折り合い方を見直させられるのです。そういう意味では、『君が生きた証』『はじまりのうた』『FRANK』『SRサイタマノラッパー』なんかも大事な音楽映画です。