『チェンジリング』


 『チェンジリング』は、シングルマザーのアンジェリーナ・ジョリーの一人息子が誘拐されてしまう、という前情報しか持たなかったのが幸いして、ストーリーを存分に堪能することが出来た。ストーリーというか、これが実話というのが信じられないくらいヘヴィな話。1920年代後半の話なのだけど、やはり不条理で悲しい事件は、昔からあったんだなと改めて思った(当たり前だが)。

 ひたすら子供を探すジョリーの懸命さと強さに心を打たれる。自分で生んだ子供が煩わしく思ってしまうような母親(彼女達にもいろいろ不幸はあるのだろうけど)にこそ見て欲しいなと思った。劇中でも涙が溢れてしまったのだけど、観終わった後の定食屋で映画を思い返していたらまた泣きそうになってちょっと困った。

 それにしてもイーストウッド監督の映画的な話術の巧みさは一体なにごとかと思う。これ見ちゃうと大半の他の映画がバカバカしく思えてくる。『グラン・トリノ』も良かったけれど、個人的にはこちらの方が更に好き。今のところ、今年一番の映画。今はあまりグダグダ書きたくないけど(最初のエントリなのに)、気が乗ればまた書こうと思う。