ショック!残酷!男を奈落の底に突き落とすラブコメ映画


 世の男性にとって、これから公開される映画で一番恐ろしいのは、『マーターズ』みたいなホラーじゃなくて、『そんな彼なら捨てちゃえば?』だろう。
 なんて恐ろしいタイトルなんだ。タイトルだけでこんな不遜な雰囲気を放ってる映画もそうはない。映画のチケットを買う時に、男子が「『そんな彼なら捨てちゃえば?』、一枚」と言わなきゃいけない事を想像するだけで震える。「僕は自虐的な男です!」と手を挙げて宣誓してる感じ。
 原題は『He's Just Not That Into You』。直訳すれば「彼はあなたがそれほど好きじゃない」という感じであるから、『そんな彼なら捨てちゃえば?』というのは、事実認識的なタイトルから、女友達の「意見」に一気に飛躍している。タイトル命名者が感想を言ってるこの出しゃばり感がまた恐ろしい。原作も同タイトルらしいけど。
 この映画はキャスティングがなかなか豪華で、ドリュー・バリモア、スカーレット・ヨハンセン、ジェニファー・コネリージェニファー・アニストンと主演級のヒロインがどかどかと出ている。男性陣はジャスティン・ロングベン・アフレック、コビン・コノリー、ブラッドリー・クーパー。なんだか女性陣にコテンパンにされるのが似合いそうなメンツであるところも不安を大きくさせる。スカーレット・ヨハンセンが男を足蹴にするところは想像できるけれど、特にボンクラ共のミューズであるドリュー・バリモアがダメ男を斬り捨てるような女性を演じていたら、僕はもう立ち直れないかもしれない。映画を観て廃人になるのだろうか。
 原作を読んでないので分からないのだけど、原作はグレッグ・ペーレントとリズ・タシーロ(いい響きですね。タシーロ)という『Sex and the City』を一部担当した人らしく、リアリティのあるエピソードをグサグサ盛り込んできてるはずである。

ドリュー「彼はいい人よ。ニートだけど、私が仕事に出ている間、観葉植物に水をやってくれるし。」
ヨハンセン「あたしは仕事の前に水をやってるわよ。」
ドリュー「…」
ヨハンセン「植物に水はやれてもニートじゃ生活は潤わないわよ!」
ドリュー「でも彼は、君はサボテンより手がかからなくていいね、と言ってくれるわ。」
ヨハンセン「あなたはサボテンじゃない!いい?あなたは自分がどんなに魅力的か自分で気付いてないのよ。あなたにはもっと相応しい男が現れるわよ。そんな彼なら捨てちゃえば?」
ゾ!だいぶテキトーな妄想ですけど。

 日本公開日は8月1日。くしくも映画ファン感謝デー。リア充の女子にとってみれば観る必要のないタイトルであるから、たぶん私生活でもちょっと不器用でなかなかうまく行かない、『サンシャイン・クリーニング』の姉妹のような女子が劇場に大挙して押し掛けるだろう。女優陣がダメ男をバシバシ斬って行く様に溜飲を下げて、「そうよね!もっといい男がいるはず!」などという思想を増長させるのかもしれないし、もしくは「男を選り好みしてる場合じゃないわ!些細な幸せでいい!」という感想になるのか。彼女達がどんなリアクションをするのか興味があるので1日、敢えてOLたちが多く足を運ぶであろう日比谷界隈の劇場に突撃してみようと思います。劇場で倉田真由美に会えそうな気がしないわけでもないし。
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