2011年のアイドルポップス お世話になった10曲
束アイドルにいきなりハマる。
今年そうなった人は、わたしの周りもボチボチいて、おっかし〜いな〜、こんなハズじゃなかったんだけどな〜と頭を掻きながらも足繁く現場に通っている。どうしてそうなったかと言うと、彼女たちが一生懸命に歌って踊る姿に元気づけられる、キュートな佇まいを見てて癒される、それも理由としてあると思うけれど、音楽表現として面白かった、というのが結構大きい理由だったんじゃないかと思う。いくら可愛くても、音楽にノレなくては夢中になれないと思うんですよね。「けっこうイイ曲あるじゃん!」というアイドルポップスを発見する楽しみを味わえたし、ロックンロールがボヤボヤと足踏みしてるのを脇目に、どんどん新しい表現に踏みこんで行く彼女たちに魅せられた1年でした。
以下は今年良いな、と思った10曲です。
10.私立恵比寿中学『ザ・ティッシュ〜とまらない青春〜』
ももクロよりフザケまくった妹分、エビ中。最初はフザケすぎ!と怒っていましたが、いまはすっかり中毒に。斬新です。あと子供のくせにみんなこまっしゃくれ過ぎです。
9.でんぱ組.inc『くちづけキボンヌ」
他の曲はあざとさが気になるところはありましたが、このくらいの力の抜け方であれば聞けますね。むしろ良い。かせきさいだぁと木暮晋也による書き下ろし新曲。
8.スマイレージ『タチアガール』
いつも笑顔というロボット的な不自然さ、チルディッシュな声質、「ふぅわふぅわ」というルーラルな間の手。当初は若干の気色悪さを感じていたのですが、いつの間にか頭で反芻してしまっている真の電波ソング。よく聞くと歌詞もグッと来るんですよね。今はゆうかりん引退を残念に思います。ハロプロ界隈はこれからゆっくり学習していきたいと思います。
7.Perfume『スパイス』
3rdアルバム以降のシングル群は何故かピンとくるものがなかったのですが、これは個人的には久々の会心の一撃で嬉しかったですね。とにかくきもちいい。「わくわくが欲しい」という歌詞も個人的にグッと来ます。あとああちゃんがいつの間にか痩せてグッと可愛くなっているところも驚きです。しかしわたしはかしゆかが好き。
6.LinQ『きもち』
今更のニュージャックスイングを力まずアレンジしたら新鮮な出来に。彼女たちの他の曲レベルからするとこの曲は突出しまくっていて、もしかしたら偶然の産物なのかもしれないけれど、欧米のブラコンクリエイターが聞いて嫉妬するかもしれない奇跡の一曲。
5.Twinklestars(さくら学院バトン部)『プリーズ!プリーズ!プリーズ!』
元シンバルスの沖井礼二作曲。にしても、また完全にシンバルズですね。しかし、この曲は疲れているときに聞くと何故か涙が出てくるほどいいんですよ。キモいですね。すいません。さくら学院はバトン部の他にも、パワーポップをやる新聞部、50年代オールディーズをメタルでアレンジした重音部、80年代エレポップのクッキング部、そして美しいコーラスに心洗われるさくら学院本体と、バラエティに富んだ楽曲が揃ったアルバムもすごくいいです。
4.バニラビーンズ『エルスカディ』
1stアルバム『バニラビーンズ』はアイドルポップス史に残る名盤だと思いますが、今年出たセカンドアルバムも、まさかのおマンチェ「C葉さんのうた」、「ドクター、お願い」、「?」、リサのソロ曲「Sodermalm」などいい曲も多くて良かったですね。
3.東京女子流『鼓動の秘密』
ブラコンアプローチのアイドルソングをやるグループは今や少数派なのかもしれないけど、曲のクオリティにはいつも驚かされます。去年の『ヒマワリと星屑』のグルーヴが圧倒的ですが、今年出た『Limited addiction』『Liar』も名シングル。『鼓動の秘密』はレコード屋さんでかかっていた時に、かっこいいなと思いました。 自宅でもなく、クラブでもなく、レコード屋さんでいちばん映える音楽。 この曲はPVもかっこいいですね。「格好良さ」という意味では、最近のアイドルのビデオの中で群を抜いてる、というか普通のアーティストのPVでもなかなかお目にかかれないぐらいじゃないでしょうか。ゴス少女な衣裳もいいと思います。そしてかっこうよい楽曲と、天然記念物級にキュートなメンバーのギャップもまたいいです。
2.Tomato n' Pine『旅立ちトランスファー』
他のアイドルグループに比べれば活動はおとなしめですが、今年出た『旅立ちトランスファー』、『なないろ☆ナミダ』『ジングルガール上位時代』のシングルはどれもガールズポップの名曲揃いだと思います。ディスコサウンドとキュートなコーラスが抜群な「ワナダンス!」も舌を巻く素晴らしさなのですけど、震災直前に発表されたこの曲に今年はずいぶん救われました。ビョークのセカンドアルバムみたいなストリングスアレンジも美しいです。
1.ももいろクローバーZ『労働讃歌』
アイドルポップスを更新してやろうという冒険心と、その落としどころの上手さ。次々新しいイベントを打ってくるスピード感。そしてそれを乗りこなす彼女たちの演者としての勘の良さとレベルの高さ。
『労働讃歌』の、頭にネクタイというくだらなさと昭和具合に脱力しつつ、楽曲をGO!TEAMのイアン・パートンに依頼するという、センスがあるんだかないんだかよく分からないスタンスに翻弄されるも、フタをあけると、かっこよく、おもしろく、そしてしっかりとかわいいっていう見た事もないものが上がってくる。
こんなにわくわくするグループもないよ。文句無し。彼女たちが今年の一番です。