2013年上半期のアイドルポップス10曲+α

 今年も半年経ちましたね。あまり現場には行かなくなってしまったのですが、今年も変わらず、元気にアイドルポップスを聞いていますので、気に入った曲を挙げてみます。

10.エレクトリックリボン『バスルームでつかまえて』

※11:08くらいから。
渋谷系好きの女子三人組。ヒラウタからカジヒデキのようなメロディでニヤっとしますが、サビメロの疾走感や、高らかに鳴るホーンアレンジも気持ちいいJ-POPだと思います。エレクトリックリボンはかわいらしいエレクトロポップをやるユニットと思ってたんですけど、この曲でそこに留まらないポップサイドに突き抜けた感があります。面白いのは、メンバーのasCaさんが曲もつくるDIYユニットながら、アーティスト然とした感じでいるよりは、すすんでアイドル的な活動をしてるところで、そのあたりはすごく今様だなと思います。asCaさんの別プロジェクトのPastel Pantsも良曲揃いでおすすめです。


9.ももいろクローバーZ『月と銀紙飛行船』

1stアルバムを愛する身としては、セカンドアルバムに未だとまどいがあり、あまり良いファンとは言えないのかもしれません。それでも、永遠に続くと思われたわちゃわちゃした季節を少し超えて、大人の表情をみせるようになった彼女たちの成長っぷりに、ここまで来たんだ!という感慨はあります(注:Z新規)。この曲はアルバム発売前のツアーでもいいなと思った数少ない曲ですが、何年か経ったらアルバム自体もしっくり来る時がくるのかもしれません。ただ『入り口のない出口』のZ曲はあまり好みのアレンジではないのでまだ不安はありますが。


8.Dorothy Little Happy『Life goes on』

この曲は80年代ハードロックマナーにのった曲ですけど(puffy『とくするからだ』の感じもありますかね)、歌われる歌詞の、
「わたしたちを止められるものはわたしたちだけ もう大抵のことは大丈夫 強くならなきゃ、ね? さよならした大切な人を忘れないよ 消えてしまった星の分までわたしたちは生きていくの」
というラインは、彼女たちが仙台出身ということを鑑みると、その背負った覚悟の重さはとんでもないものなんじゃないかと思います。まぁわたしたちも生きていかなきゃ!です。ドロシーさんは清楚な雰囲気とオーソドックスな良曲を備えたユニットで、尖った目立ち方をするアイドルさんではないですけどれど、彼女たちを見守ってるヲタさんは結構多いんじゃないでしょうかね。


7.リンダIII世『未来世紀eZ zoo』

群馬県出身の日系ブラジル人アイドル。存在自体もカウンターとしての魅力がありますが、曲のフックや、EDMのトガリ具合もハンパないと思います。次のシングル、『愛犬アンソニー』もますますその強度を上げていて、群馬あなどれないですね。


6.さくら学院My Graduation Toss』

中元すず香さんのさくら学院卒業ソング。卒業ソングがすこしだけ憂いを持ったポップスになってるところがいいと思います。昔、かのデイヴィッド・リー・ロス先生が、自身がカヴァーした『ジャスト・ア・ジゴロ』を指して、「悲しい歌詞はバラードで歌ってはダメなんだ。悲しい歌詞ほどポップスに載せる方がグッと伝わるんだよ。」というようなことを言っていて、なるほど、と思ったことがあります。この曲を聴いてそのことを思い出したりしました。作曲は、ブリグリのSHINSAKU OKUDAさん。追っかけコーラスや、ヘイヘイヘイ!と入る掛け声などはアイドルソングとしての目配せなんでしょうね。


5.Negicco『愛のタワー・オブ・ラヴ』

Negiccoさんは今年も良シングルを出していますが、この曲は80sエレポップ感があって、おじさんのわたしとしてはいちばんしっくり来るところがあります。もっとメロディが流麗な方がよりらしい気はしますけど。10年の長い活動歴を持つNegiccoさんが、過去最高に注目を浴びているタイミングでドロップされる今月発売のアルバムも楽しみであります。


4.乃木坂46君の名は希望

アイドルさんが好きといっても、秋元さんがプロデュースされているものはピンとくるものがなかったのですけど、この曲はいいと思いました。孤独な男の子が恋を自覚する手前で、「厚い雲の隙間に光が射して グラウンドの上 僕にちゃんと影ができた」という描写を入れ込むところも素晴らしいし、盛り上がるサビメロディも美しいです。作曲はエビ中も手がけている杉山勝彦さん。


3.BELLRING少女ハート『サーカス&恋愛相談』

70年代英国ポップスのようなサウンドにびっくりしたのですが、それに女性アーティストの艶かしいヴォーカルではなく、普通の女の子のまっすぐな声が乗るところが新鮮だし、意味があるように思います。1stアルバムも日本のポップス史に楔を打ち込むような野心に溢れた名盤だと思います。


2.私立恵比寿中学『手をつなごう』

アイドルポップスの枠を超えて、普遍的な「みんなのうた」になりえる魅力をもった曲だと思います。トランス的なキーボードサウンドも爽やかに響いてる不思議。1カットで撮影されたPVも素晴らしいです。


1.私立恵比寿中学『大好きだよ』

春のよみうりランドでも「引き」のハイライトとして歌われた名曲。昨今のアイドル曲と比べると、音の隙間もあり、音圧も高くないけど、シンプルゆえに輝いてるものがあると思います。例えばホフディランワタナベイビーさんが、飾らない言葉とサウンドで、心の本質的なものをグッと捉えてしまう感覚に近いものをこの曲にも感じました。うぉー!こういう曲書きたかったよー、という悔しさもありますね。エビ中さんのワンツーフィニッシュになってしまいましたが、メジャー以降のエビ中スタッフの曲のディレクションはほんとうに素晴らしい仕事ぶりだと思います。


上半期は、他にもいいなと思ったアイドルポップスがたくさんあったので、もう少し載せておきます。
・『Beat Goes On ! 〜約束の場所〜』RYUTist
・『R.O.D.』ライムベリー
・『ジュエルメモリーズ』バニラビーン
・『アイドルばかり聴かないで』Negicco
・『頑張ってる途中』私立恵比寿中学
・『おねだり大作戦』BABYMETAL
・『マジ感謝』チームしゃちほこ
・『運命』東京女子流
・『仮想ディストピアももいろクローバーZ
・『SAKURA DRIVE』アップアップガールズ(仮)


アルバムとしては、
花澤香菜『claire』、
竹達彩奈apple symphony』、
コトリンゴ『ツバメ・ノヴェレッテ』、
BELLRING少女ハート『BedHead』、
Dorothy Little Happy『Life goes on』、
アップアップガールズ(仮)『ファーストアルバム(仮)』、
Especia『AMARGA-Trade-』、
東京女子流『約束』、
ももいろクローバー『入口のない出口』、
BMX BANDITS『In Space』、
Vampire Weekend『Modern Vampires of the City』、
Iron & Wine『Ghost on Ghost』、
Phoenix『Bankrupt!』、
きのこ帝国『eureka』、
徳永憲『ねじまき』
あたりをよく聞いていました。

下半期は、エビ中Negiccoのアルバム、それとキャラメル☆リボンなんかが楽しみです。