[映画]SF映画ベストテン

ワッシュさんの「SF映画ベストテン」に参加させていただきます。
SF映画の醍醐味というのは、真新しいビジュアルとかいろいろありますが、わたしの中では、「時間軸」をどう扱って見せているか、というのが一番のポイントですね。それはタイムトラベルに限ったことではなくて、例えば、スティーブン・キングの短編『ジョウント』では、人間を瞬間移動させる装置が出てくるのですが、その装置を使う時には被験者は眠ってる状態でなくてはいけないという決まりがあります。しかし主人公の少年は、起きている状態で瞬間移動装置に入ってしまい、体は一瞬で移動するのですが、起きている「精神」はその一瞬で永遠を体験してしまいます。読者は読み進めながら、その「永遠」という、自分の知らない途方もない時間軸を目一杯想像することになるわけで、そういうところがSFの面白さだと思っています。人間が数字を発見し、日常の中に「時間」という規定を設けて、今はそれが当たり前になって生きているわけですが、その枠を超えた時間をさらに想像してみる試みがSFなんじゃないかと。画やガジェットの魅力よりもそういう刺激的な発想を求めて、SF映画を観にいってるところはありますね。前置きながくなりましたが、以下10本挙げてみます。順不同です。
バック・トゥ・ザ・フューチャー [DVD]猿の惑星 [DVD]恋はデジャ・ブ [DVD]ミッション:8ミニッツ [DVD]A.I. [DVD]
ウォーリー [DVD]2001年宇宙の旅 [DVD]ブレードランナー クロニクル [DVD]ターミネーター [DVD]26世紀青年 [DVD]

バック・トゥ・ザ・フューチャー
(1985年米/監督ロバート・ゼメキス

猿の惑星
(1968年米/監督フランクリン・J・シャフナー

『恋はデジャブ』
(1993年米/監督ハロルド・ライミス)

ミッション:8ミニッツ
(2011年米/監督ダンカン・ジョーンズ

A.I.
(2001年米/監督スティーヴン・スピルバーグ

WALL・E
(2008年米/監督アンドリュー・スタントン

2001年宇宙の旅
(1968年米英/監督スタンリー・キューブリック

ブレードランナー
(1982年米/監督リドリー・スコット

ターミネーター
1984年米/監督ジェームズ・キャメロン

26世紀青年
(2006年米/監督 マイク・ジャッジ

バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、偶然自分の両親が若かった時代にタイムスリップしてしまう話ですが、自分が過去に来てしまったせいで、1985年の自分の存在が危うくなってしまうという設定が面白いですよね。両親の仲がうまく行かなそうになると、1985年の自分の写真が消えかかってしまうところも、画で見せるとわかりやすくていいです。ちなみに『バタフライ・エフェクト』は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の変奏のような気がしますが(そうでもないか)、人は幼い頃のトラウマに一生左右されてしまうからその根本の出来事を変えなきゃハッピーになれない、という決め事がどうも重くて苦手です。トラウマになる出来事から現在の登場人物まで全く成長がなくて、その間の時間が感じられない。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、シリアスにやれば重い話になるかもしれないですけど、コメディとして撮られてるから観る方はだいぶ気が楽でわたしは好きです。

猿の惑星』のラストは小学生ながらにガーンときました。『猿の惑星・征服』、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』も好きですけど、シリーズ化してもそこそこ面白いのは、やっぱり最初のこの設定が秀逸だからじゃないかと。

『恋はデジャブ』は、毎日を繰り返してしまう男の話。時間軸の取り方としては、これもSFじゃないかと。設定が近い『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と悩みましたけど、ビル・マーレーは観てて飽きないなと思ってこっちにしました。

ミッション:8ミニッツ』は、8分間だけを繰り返しさせられる男の話。ダンカン・ジョーンズは、『月に囚われた男』もめちゃめちゃ好きでルックとしてはこちらの方がSF然としてますけど、時間の話の方で『ミッション』を選びました。

スピルバーグは、『マイノリティ・リポート』、『E.T.』、『未知との遭遇』も素晴らしいですけど、SF映画として『A.I.』を。『E.T.』『未知との遭遇』は、わたしたちの日常ベースの話ですけど、『A.I.』は日常から遠く離れて、途方もなく壮大な空間や時間を主人公と一緒に巡る体験が最高です。壮大すぎてポカーンとしそうになるところも含めて。主人公のことを鑑みるとえらい切ない話であるところもグッときます。

WALL・E』は、オープニングから最高ですね。主人公が孤独に過ごして来た膨大な時間が、数分の映像だけで説明される感じが映画として素晴らしいと思います。『オブリビオン』にも近しいところを感じましたが、『WALL・E』の後ではちょっと辛いかな。『オブリビオン』は、SF映画とかまだちゃんと知らない小学生の時とかに鑑賞してたら、最高の映画体験にはなるように思いますけどね。

2001年宇宙の旅』は、お猿さんの投げた骨が一瞬で宇宙船にシンクロところがいいですね。まぁちゃんとその意味を把握できたのは解説とかいろいろ読んだ後ですが。

リドリー・スコットは、迷った末に『ブレードランナー』に。映像の素晴らしさもさることながら、レプリカントの設定がいいですよ。寿命の捉え方がすごくSF的じゃないかなと。迷ったのは『プロメテウス』で、ヘンテコなところもありますけど、壮大な時間が流れた星に、わたしたちと同じ時間軸を過ごしている地球の人間がポーンと投げ込まれる感じがいいなと思います。映画の出来としては、『エイリアン』『エイリアン2』の方が上なんでしょうけど、壮大な時間を上映中ずっと感じられるというところにおいて、『プロメテウス』がいちばんSF映画してる感じがします。

ターミネーター』も、未来から人が来ることで主人公の運命が変わってしまうところが面白いですね。最近の『LOOPER/ルーパー』も未来から人が来る話で、これもSFとして面白いなと思ったんですけど、中学生の時の『ターミネーター』体験を超えたわけでもなかったので、個人の思い入れでこっちに。

26世紀青年』は、起きたら未来だったという時間軸の捉え方としてはシンプルすぎる映画ですけど、日々生活していると、『26世紀青年』でのバカ話がどんどん現実的なものに思えてきて、何度もこの映画のことを思い出しますね。やたら身近に感じられる映画としてこれを挙げたいと思います。

その他の候補は、『スター・ウォーズEP4』、『スキャナー・ダークリー』、『銀河ヒッチハイクガイド』、『サイレント・ランニング』、『ドニーダーコ』、『ガタカ』、『未来世紀ブラジル』なんかがありましたが、わたしとしては以上です。
今年の結果も楽しみにしています。